混じり気のない あの透明な空を 月を見て君が言う 幼い頃の記憶を 辿る様に嗤う その顔は 恐怖を忘れ 痛みを忘れ君は 安寧している 指先に蝶 首筋に雲の糸 からまりほどけず...
月明かり ひらひらと 舞ふ蝶のあはれよ 休む葉も すゝる蜜もなく 落つるかばね 時明かり 雪は川 朝露に消ぬべく 日は巡り 死は生に 廻る廻る彼方...
凍り付いてた私の心 融かす息吹は目と鼻の先 貴方が傍に居てくれるなら...
むかし おとこ うゐかうぶりして ならの京 かすがのさとに しるよしゝて かりにいにけり そのさとに いとなまめいたるおむなはらからすみけり このおとこかいまみてけり おもほえずふるさとに いとはしたなくてありければ 心地まどひにけり...
揺れる三日月の軋む音で目覚める結晶の街 凍る瞳がそのただ一瞬を捉え続ける 「風が無ければ舞えない」そう微笑う枯花を手折って 灯る星の誘うままに独つ逸れる影の仄か...
完成できないのは覚めてしまったから 木々は色を止め深い眠りを見る 展開できないのは名を知ってしまったから...
蛍舞い踊る川辺で 浴衣似合う子供 二人肩並べて覗く 線香花火 数多の光に溶ける様に 君を照らす花火...
消し忘れたテレビの 電源を消そうとして 探したが見当たらない リモコンを無くした日の午後だ 昨日の雪がウソのよう 何故か感じる違和感 天気予報を求めて 行き着く先はリモコンがない...
漂う白雲は溶けるように 境界線を崩して続く青の中 水面に映る花 儚げに微笑みかける 枯らしてしまう その日まで...