逆さに近づけた 広い夜空に 現実はまるで 泡沫のようで...
温かな･･･ 眼差しに包まれながら･･･ 二人で歩いた この街を 今もまだ 思い出して 私の歌は 鳴り響いていたかな･･･？...
風の行方を知りたくて 古（いにしえ）に尋ねても この心の隙間をすり抜けて 答えはここに運ばない...
富士雪華（ふじせっか） 瞼（まぶた）の端に そっと舞い落ちる、真白（ましろ） 君と過ごした この場所に立てば、幻 雪の景色が、めくるめく始まれば...
燐光性の錆びた言葉が時計じかけの夢を見て 螺鈿細工の猫ヒゲ線が人工鳥の比喩に死ぬ 痛みが通る轍のあとに複数形の白昼夢...
はらり、色葉散らばった 石畳に影が踊りだした 綵花咲き乱れてなお 香ることなく ずっと待っていた 触れぬ君の手を引いて 鳥居くぐれば 想い密やかに 巡りめぐりゆく季節 月の満ち欠け ふたり見送る...
鉄格子閉鎖 明け暗れる 飼殺し我が己の行く末は 断たれし想い故...
今も同じ、あの空へ … いつか共に歩いた 海辺の枝道 潮風に揺れる キミの髪見てた...
廃棄されたような世界の中 手を伸ばしても何にも触れなくて また消失していく...
目と目が絡み合えば 心さえも凍てつく闇招いて 今だけ忘れたいよ 色褪せないまま わたしを呼ぶ声...