青年少年、鬨の声を上げろ 後塵拝すは不甲斐無きと思え 嘲笑、豪雨どこ吹く風進め...
あやふやで不確かな言葉が澱のように積み重なっては 淀み、惑い、形をなくして喉の奥に溶けていく あなたを語るに足る言葉は生憎、持ち合わせてなくて...
いつか名付けた野良猫 今日は未だ来ないようだ 独りになりたがるのに 寂しがるんだねえ? 拝啓、そぼ降る雨の夜々 魂暗い午前三時...
そこのけ、広き海へ渡る船、 帆、よく揺れて知らぬ瀬戸も青 釣り餌を食む魚や水面に待ち...
やあやあ、ご無沙汰!安本丹さん のうのう洒落にお過ごしですね 誰彼構わず優しいなんて案外、冷たい人ですね...
暖炉の炎が煌々と霞む自意識を照らしだして 絵の具はやがて泥に変わり、それでも眩暈、美しく 各自の愚劣をぶら下げた、狂いに狂った蒙昧どもの 批評家気取りの値踏みの目、ここに価値あるものはないさ...
燐光性の錆びた言葉が時計じかけの夢を見て 螺鈿細工の猫ヒゲ線が人工鳥の比喩に死ぬ 痛みが通る轍のあとに複数形の白昼夢...
二六時中、取り巻く喧噪が、頬を撫でるそよぎのなか隨に舞った 可成り懶さに歌う聖歌隊、頓痴気な列をなし歩く言葉 錻力を戛々打つ通り雨が錆びた風の余波のなか矢庭に降った...
遠雷のように鳴りひびかう太鼓の音、地を這って 諸人賑々しく歌い、てんでに言祝ぎ、手を叩く 誰がためにでもなく、自分のためだけにさ柏手を...
サァサァ皆見て御覧じろ! 御目通り控えましたるは 救えぬ者らの滑稽譚...