月明かりの集団は時間を待つ 空が暗くなるにつれて動き出す 月が顔出す時間奴らは来る 一緒に遊ぼうよと手を差し出して...
苦し紛れの問い 指先だけ動き 明日よりも今日が 怖いことを知る 僕らしさも消えて 足跡だけ残り 斬り捨てられない 残月を...
暮れ泥む空 歌い舞う雪 滔滔(とうとう)と白銀に染まる 儚き世の隻鳧(せきふ)の如く あかぐれゆくは 月の路...
むかし おとこ うゐかうぶりして ならの京 かすがのさとに しるよしゝて かりにいにけり そのさとに いとなまめいたるおむなはらからすみけり このおとこかいまみてけり おもほえずふるさとに いとはしたなくてありければ 心地まどひにけり...
揺れる三日月の軋む音で目覚める結晶の街 凍る瞳がそのただ一瞬を捉え続ける 「風が無ければ舞えない」そう微笑う枯花を手折って 灯る星の誘うままに独つ逸れる影の仄か...
君の声が君の歌が今僕の心へ 雪のように積もるように 届くよ月織り 気づかないフリをした...
その手を 離さないで 私を 抱きしめていて 月明かり 照らす窓辺...
完成できないのは覚めてしまったから 木々は色を止め深い眠りを見る 展開できないのは名を知ってしまったから...
花道を薄く照らして 寄せ木細工 音を奏でた 艶やかな上弦の月 雲に消えた 傘もないのに...