行く春の風過ぐる辺 麗しき男のありけるに 楽しくもしどけなき性に...
静まり返り 眠る街を駆けゆく 吹き抜け踊る 風に乗り夜の淵へ 輝く月が その横顔を捉える 冷たく光る 左手は何を掴む...
揺らいだ視界が語る 遠くもない過去の話 最後に聞こえた声は...
地に落ちた白露(しらつゆ)の様に いつもの道に開いた陥穽(かんせい) 気付いたときにはもう 暗い夜道に迷い込んでた 向けられた幾つもの目が 嘲(あざけ)りと好奇を投げかける 背に刺さる視線に怯え とにかく何処かへ走り出した...
果てなき 天と土の間 埋める 見知らぬ誰かは 嘗(かつ)てそれを「空」と呼んだ 光届かぬこの世界で 語られるだけの説話...
静かに降り続ける真夏の雪 明日も未来も 白の隙間に没んでゆく 壊れ歪んだ空の慟哭が...
架空の歴史を切り出したような ハイファンタジーも 希望を失くしたモノクロ世界の カタストロフィーも...
興味無いダイレクトメールとか 食べ終えたガムの空きボトルとか 風で骨の折れたビニール傘とか 床に落ちた割り箸とか...
太陽が目覚める せせらぎが聞こえる 小鳥は歌いだす 僕はまだ夢の中 海原が広がる 細波(さざなみ)が聞こえる 海鳥は飛び立つ 僕は途方に暮れる...
肩落とし歩く 君の背中 ねえねえどうしたの 私に話してみてよ 一人で悩むよりも きっと...