湿度の高い夏の午後 青々しい木々 揺れる葉 乾いた汽笛が響いた 駅のホーム 汗が堕ちた 感傷に浸る間も無く 自動ドアは閉まりかけの様子 慌てて列車に飛び乗る 僕の凡人たる所以（ゆえん）...
{芽吹いて零れた瑣末な火種は} {年月を貪り、大きく燃え広がっていく} 愛情が注がれていく 少しずつ肥えていく...
ある国の王女は言う 「いつか海が見てみたい」と 召使いは顔を背けて 皺だらけの手を震わせる...
列車は泡を吐き出しながら 海底の街を進んでいく 魚の群れが車体を揺らす 窓から見た憧れの世界...
安寧の日々は滑稽なヒビへ形を変える エス・カーストの最下層 トロイメライ覚め、カオスな今へと...
裏切りの狭間で溺れて息が出来ない この手は無力で掬えない 守る背に焦がれすぎて 金色の風が凪いだ...
廃城と錆びた臭い スプリンクラーが水を撒き散らす 濡れた街 傘の大行列 湿る展望台 ずぶ濡れのコートの襟 正す男 冷めた瞳の奥 熱 霧 揺れ、全て喰らい尽くした...
誰かに見られているような 箱庭の中での暮らしも 幾百年過ぎてしまえば 当たり前に変わっていく...
悲劇を彩る閉塞感 管の束嗄れたレクイエム 割れたモニター焦げた床...
青白い廊下 静寂に耳を塞ぐ 狂気 正気 酩酊（めいてい）の中 霊安室の灯り 脆弱な夢ばかり 安置され 飲み込まれた...