天つ風(あまつかぜ)よ 時の羽(ときのは)さえ この思ひは 十六夜に… 凛としたあなたと同じ 手折(たお)られぬ花 色は匂へど...
桜の樹さらさらと 光る風に揺れてゐる あの散り急ぐ花の劇(はげ)しき日々 遠き夢の如く それは貴方の そう無口な姿...
もう、戻れない あの日々を恋焦がれても もう一つだけ 残された道があるとしたら...
幾千の未来よりも 一瞬の今を強く生きたい 奈落のほとりでさえも 駈けて行ける 貴方となら...
浅葱色の天空(そら)がいま 燃えてゆく 遙か落日 人も国も染め抜いて 私の泪 天に全て散りばめて 貴方の往く闇 星で照らせるなら...
小さな鳥、飛び立てぬ、愚かな理(ことわり) 揺れる木々が、ざわめく時 羽根は、息吹くのだろう 全てが、思いのままに...
最後の一頁 一緒に迎えられたら 優しい明かりが 差し込むでしょう...
何処へ向かう? 誠の舟 まだ見ぬ夜明け求め 夢をなびかせ悲壮(かなしみ)乗せて...
降り積む 風花を 肩を並べ 眺めてる 手を伸ばせば 届く距離を もどかしく思う...
踊り疲れ 眠る空 やがて朽ちる 桜木の 舞い落ちる花弁(はなびら)の 行方辿れば...