ユラリユラリ陽炎フラリ白ト黒ノ記憶ボヤリ ノラリクラリ立チリクスリホロリ今ニ至リ 朔の夜闇の中で光放つ願いが照らす...
錆びつく肢体を投げだして 昨夜、夢を見た 羽化する間際...
「いろはにほへと ちりぬる朝が降れば、鈴をしゃんと鳴らしませ」 此方極東、辺鄙な山奥から旅立つ定めなのです 褪せぬ丹色を幾重も潜り抜ける 朔月の夜は深く...
あのとき ぼくらは自轉車を棄てることを 紫陽花のざわめきのなかで決めた 剥製の鹿に囮をまかせて 遁げた...
高い空から降る蒼い月影 息を殺して寄り添った 歩いてきた足跡はもう...
朧に白き霧雨は、 遠雷引きつれ通り雨。 ふるりふるりと氷雨降り、 まさにあわれと、蜃気楼。...
冷たき湖水に残るは 鳥が一羽だけ 空に帰ることも忘れて 波紋描きだす 樅の木凍らす白き花は...
嗚呼 夢路にいざなう声は 遠い日々の 愛し幻よ ゆらめく影 帳の先 妖しの唄 誘う炎 今宵見える鬼魅の瞳に 宿る幽し光 我が胸を撃つ...