真っ暗がりの布団の底 ゆめゆめ悪夢にずぶずぶ沈む 見慣れた画面のその向こうには...
嫋々たる春風の日々は過ぎ すげない雨が つ、と降りかかる 行合の空 君の横顔...
小鳥は透明なだけで飛べていないのに ただ浮かんでいた 流されるまま...
万歳 身で 美を嘆いて さぁさぁ 踊りたまえ 悟り悟って、どうぞ...
晴れ渡る空に想う 慰める花はある？ 「負けないでね」...
日陰に迷いし春疾風 綾なす幻視の才 袖口残した墨汁の沫 衝天『希望』の字 嗚呼、黒春 去りし彼の日 矜持の凝固歪んだ芸術...
今日も、ただ生きて ただ、だらだらと息を吸って 希死念慮な音...
何か見つめる君 近くて遠い 伸びた爪 冷めた手で 握る手が痛い それでも私は あの花のような笑顔で...
千切れた影は 針の筵（むしろ） 叫ぶように 嗤（わら）う怠惰 希（ねが）うせいで 朽ちた世界 満ちた月を 磔（はりつけ）にした...
古い井戸の底に 甘い蛍の露 夢 いつかに見た淡い蝶々のこと 長い夜が明けても 翅（はね） 生えないなら いっそ、 それは醒めない夢の中 ずっと希まれる幻（illusion）...