僕だけに聞こえる音楽は ないものだろうかと 僕だけに向けて奏でられた 音楽はないだろうかと 人混みの喧騒に 愛想笑いを返し鼓動を刻む 空回った外聞に 足を取られて進めぬ...
昇る陽はただの単調記号 無意味な声で歩き出した 躁鬱 野良犬が荒らし終えた地を...
溢れ出す躁の容量 耳の中に 住み着いた 一秒を遅れての出発...
憂い帯びた瞳 貴女は玉響（たまゆら）の姫君 偽りで固めた 空（から）の人形（うつわ） 月夜に隠された真実を...
「私は人形…ヴェルニアお姉さまのお人形…。 だから歌うの。お姉さまのために…」 咲いた 咲いたよ きれいなお花が 咲いたよ...
死にたくならないように弱さを鎖で繋いでいく 誰も触れず腐っている海に複製のガラスを投げた 漂白した世界は罪だけが意識を欠いている...
気まぐれ天気や ぱっぱっぱっ 雨降り お日様 ぴっかぴか 平凡々 陳腐な日常に ありえへん 非常識なヤツ...
青褐（あおかじ）の香気を纏（まと）っているこの街が イーゼルを挟んで通っているその声が あの日の廃線に繋がってはまた眠れない 意味もなく虚しさは心に...
蒼穹(そうきゅう)蔓延(はびこ)った 釁隙(きんげき)に飽いた凡人は 霄壤(しょうじょう)引き攣(ひきつ)った 女の子と踊る 電光石火の贋作(がんさく)乱舞も無に帰した 有限の黎明(れいめい) 恬々淡々(てんてんたんたん)と唄う...
足りない頭を抱えて 蠢（うごめ）くドーナツの群れで、 翻ったスカート、彼女はちょっと浮いている 市街地が毛布に包まって、羽を濡らした烏が 僕の眼球を呪う...